ヒトが群れを作って生活するようになった時、「敵か、味方か?」を瞬時に見分けるのは、生存を左右する判断でした。
その時、頼りにしたのが「皮膚」。
多彩な皮膚の働き
皮膚は人体最大の臓器であり、総面積は大人の場合約1.6㎡、重さは9kg(皮下組織を含む)にもなります。
皮膚の役割は、まず第一に肉体を保護すること。外敵から身を守り、体温を調節し、水分を保持したり排出する働きがあります。
第2に、熱い、冷たい、硬い、痛いなどを感知するセンサーとしての働き。
それにしても、なぜ皮膚はこんなにも柔らかく、傷つきやすいのでしょう?
昆虫を見ると、鎧のような丈夫な殻を持ち、爬虫類は硬いウロコ状の皮を有し、野生の哺乳類だって、全身を毛に覆われています。
哺乳類の進化形である私たちだけが、あえて脆弱な皮膚をもち、ある意味スペックダウンしているわけです。
ここに、皮膚のもつ第3の役割が関係してきます。
私たちは胎児の頃から肌で「心地よさ」を感じるC触覚繊維、というものを発達させ、やさしく「触れる・触れられる」ことによろこびを感じる生き物に育ちます。
赤ちゃんは、お母さんとの肌のふれあいを通して「安心」や「つながり」を感じ、そこから「生存できる」という確信を得て成長します。生まれてすぐ放置された赤ちゃんは、物理的に生命の危機に陥るだけでなく、「生存できる」という感覚を得られないため、自ら発達することをやめてしまう、ということが起こります。
人間が、皮膚から得られる情報をここまで重要視する理由は、それが生殖と結びつくからです。
俗にいう「肌を合わせる」というのは、まさに皮膚という第3の脳が、「この相手となら子孫を残せそうか」ということを判断しているわけです。
私たちは、視覚偏重の社会を生きています。
目から入る情報はとても強力であるため、そこに引っ張られやすくなりますが、実際に触る、肌で感じる、という行為を通さないと、生存を左右する判断はくだせない、ということが言えます。
触れ合う・触る ことで感じる「心地よさ」と「安心」
目の前に、触れることのできる相手(あるいはペット)がいる人は、毎日触れ合うことで、視覚からは伝わらない情報が伝わります。身近にそういう相手がいない場合は、自分の体を自分で触ることで、やはり「心地よさ」や「安心」の感覚を得ることができます。目安としては、1秒間に5cm程度の速度でゆっくりと、自分の腕や顔などを撫でるだけで効果が出てきます。
私がお伝えしている「なごみの手あて」は、自分の身体を手で触り、触った手から、そして触られた部位から、情報を脳にお知らせする、これの繰り返しです。自分の身体の情報が正確に届いた時、はじめて脳は正しい判断を下し、修復作業を開始するのです。
今月の『なごみの手あて』では久々のペアワークをやります。
日時:12/19(日)13:00~14:00
場所:秩父別町スポーツセンター2F
参加料金は
はぐママ会員様 ¥1,000
一般の方 ¥1,500
中原晴子*風のラボ https://lit.link/kazelabo
コメント